温泉街でホスピタリティと働く難しさを学んだ仲居アルバイト

今回の「アルバイト裏話・体験談」は、ひろさん(40代 女性)からの投稿です。

実家に温泉街が近かったことから仲居のアルバイトをしていたひろさん。
主に宴会での配膳業務を担当し、20人ほどの小規模な宴会からおよそ50人の大規模なものまで幅広いパターンに対応しました。
中でも最も大変だったのは熱い料理を運ぶことでした。
格式高い割烹料理を提供していたひろさんのバイト先では、料理がお客様の元へ届くときに最適な温度になるように配膳時は高温になっていることが常であり、火傷しそうなほどの厚さに耐える必要があったのです。
初めは持ち方や運び方についての説明不足を感じながらも、先輩が迅速に配膳している姿からコツを学んだことで奥深い職業であることに気付かされたのでした。

アルバイト裏話・体験談コーナー
熱い料理の難関と長年のスキルから学んだ自己成長の場

アルバイト裏話・体験談

投稿者:ひろさん(40代 女性)
アルバイトの職種:仲居(ウェイトレス)
アルバイト時の年齢:26歳


私は仲居のアルバイトをしたことがあります。

現在は結婚をして実家を離れていますが、実家のある所は温泉街でした。

そのため、旅館やホテルが多く、そこでアルバイトをするという人も多かったのですね。

求人でもすぐに見つけることが出来たので、私はある旅館の仲居のアルバイトをしていたことがあります。

宴会場で大人数に向けて熱い割烹料理を丁寧に運んだ重要ミッション

仲居のアルバイトと一言で言っても、いろいろな仕事がありますが、私は主に宴会場の配膳業務を担当していました。

少ない宴会でも20人くらいのグループだったでしょうか。

多い場合には50人くらい入る宴会場で配膳業務をしたことがあります。

私が仲居のアルバイトをして、大変だと思ったことは熱いものを持たなくてはいけないということです。

よく配膳業務をするときには、重いから大変という声も聞きます。

しかし、私たちのところでは、結構格の高い割烹料理だったので、大量のものを一度に運ぶというのではなく、丁寧に一つ一つ運ぶというスタイルをとっていました。

そのため、料理を運ぶのが重いという経験はありません。

おいしさを届けるプロセス◆自身の痛みから浮彫りになる仲居業の改善点

ただ大変だったことは、とにかく熱いものを運ぶのが試練だったということです。

料理というのは、熱いものは冷めないうちに運ぶのが鉄則。

その料理に最適な温度があり、それが一番美味しく食べることができる瞬間です。

そのため、料理が出来上がってきたら、熱いものは熱いうちにお客様に提供するということが一番大切な事だったのです。

しかし熱い器を持つのは、本当に辛い!

火傷しそうなくらいでしたね。

もう慣れてしまった仲居さんは、熱いものでも平気で持つんです。

またこの器ならどこを持つといいのかということがよくわかっているんです。

だから、丁寧かつ俊敏にお客様に運ぶことができるのです。

私が仲居を始めたときに、もしかするとその説明があるとよかったのかもしれません。

お盆の上で四苦八苦!?お客様も同情するレベルの高温の器

しかし、そんな器を持ってお客様に出すときの手を添える場所なんて、始めは説明がなかったんです。

そのため、お客様に出すときに

「あつ!」

となって、一度では持てないこともありました。

それを見かねたお客様が

「おねえちゃん、俺の方が手の皮熱いからとるよ!」

なんて言ってくれたこともあるほど。

またある時には、袖もとに布巾を忍ばせておいて、ちょっとお客様の前に出すときに添えたこともあります。

何度かこぼしてしまいそうになったこともありますが、「熱いものをこぼすとたいへんなことになる!」と何回も耐えてお客様の前でこぼしたことはないですね。

お盆の上ではこぼしたことがありますが…。

一通り仕事を覚えた先のネクストステップで仲居の神髄を垣間見る

仲居のアルバイトをしていると、熱いものを運ぶということはよくあることかもしれません。

しかし、きれいに丁寧に運ぶにはコツがいるということをその時に知りました

仲居のお姉さんたちは、熱さを我慢しているわけではなく、ちゃんと持てるところを研究し尽くして知っていたんです!

「早く言ってよ!私にも教えてよ!」という気分でしたが、お姉さんたちの動きを見ながら私も徐々に熱いものを運べるようになりました。

仲居の仕事は料理を運ぶだけでしょう?誰でもできるのではないかと甘く考えていた自分がいたのですが、それぞれの料理に運び方があり、お客様に提供するためには、さまざまな勉強が必要ということを知りました。

どんな仕事でも簡単にできるものではありませんね。

仕事を覚えるということで始めは精いっぱいだけど、仕事を丁寧に、なおかつ効率的に行っていくためには、さまざまなコツを学ぶことが重要だと思いました。

始めは

「これは熱さに耐える修行か!」

と思うくらいでしたが、次第に私にも配膳のコツがつかめるようになってきて、それぞれの器の特徴や持つべきところというのがわかってきました。

細かいことだけれど、それが一番重要だったのですね。

仲居の仕事って奥が深いと思いました。

ひろさん、投稿ありがとうございました。

温泉地の旅館では様々なおもてなしが用意されています。
今回の体験談でひろさんが経験した仲居の仕事では、料理を通じてお客様をもてなすことでした。
食事において温度はとても重要な情報であり、味覚への影響を直に変化させることができる数少ない要素です。
お客様へ最適な温度の料理を届けるためには配膳時にはより高熱である必要がある上に、迅速に適切な位置へお客様への配慮を忘れず配膳することが大切で多くのことを意識する必要がありました。
普段経験したことの無いことをみるときは特に意識しないことでも、一度経験して大変さを理解することでその業界のプロとして働く人々へのリスペクトを感じられるのは人生の中でも大切なことですよね。