夜逃げした先で困難に立ち向かいながら学んだルールに縛られない生き方
今回の「アルバイト裏話・体験談」は、はまにゃんさん(23歳)からの投稿です。
実家のトラブルと仕事の繁忙期が重なりストレスに押しつぶされそうだったはまにゃんさんは限界を感じ職場を一方的に退職してしまいました。
退職金を切り崩しながら生活していたものの遂に貯金も底を尽きてしまい、身分証明書も持っていないせいで働き口が少なく渋々日雇いの肉体労働のバイトを始めることにしたのです。
高所での作業があるため健康診断が必要になりましたが、長らく健康診断の機会を逃してしまっていたはまにゃんさんは上司に診断結果が提出できないことを相談しました。
すると、健康状態を知るはずもない上司は何も言わずに血圧欄に数字を書き始めました。
以前の職場では考えられないような事態に遭遇し、様々な事象を目にすることで忘れていた柔軟さを教えられたのでした。

アルバイト裏話・体験談
投稿者:はまにゃんさん(23歳)
アルバイトの職種:建設業の日雇いバイト
アルバイト時の年齢:23歳
実家とのトラブルと仕事の繁忙期が重なり、パンク寸前だった私はついに勤めていた会社からの失踪及び一方的な退職、有り体に言えば夜逃げを決意したのでした。
前の会社から退職金が出るまでの間、貯金を切り崩しながら生活していましたがついに底をつきかけ、しかし、当時身分証明書を持っていなかった私はコンビニなどでのバイトもできず、運動がかなり苦手だったのにもかかわらず、渋々日雇いの肉体労働をすることにしました。
健康診断で目撃した笑っちゃうほど衝撃的な一瞬
初めての現場を何とかこなし、少しずつ要領がわかってきたという中、ある現場で高所作業のためハーネスをつけることを義務付けられ、その中で健康状態のチェックが必要だということで健康診断の結果を提出することを要求されました。
前に勤めていた会社では年に4回定期的に健康診断をしていましたが、運悪く最後の半年間、健康診断を受けていませんでした。
現場では直近半年以内の血圧を書くことを要求され、もし健康診断を受けていないのであれば労働する資格がないとして帰されてしまうという状況になりました。
このことをその日限りの上司に相談すると、悟ったような顔をし、何も言わずに血圧欄に数字を記入し始めました。
もちろん、その日出会った人が私の正確な健康状態など知るはずがありません。
その黙々とした対応がシュールで思わず私は笑ってしまいそうになりました。
そして良くも悪くも、そうした適当なところがなかなか自分に合っているなと思い始め、その現場に入っていきました。
苦手な高所作業も火事場の馬鹿力で切り抜ける
現場に入ると確かに、高所作業があり、いわゆる鉄筋だけで作られた足場に生コンクリートを流す作業が行われました。
私は高所などかなり苦手な部類でしたが、その日はお金が欲しいという動機もあり、火事場の馬鹿力のように高所を何とも思わないような気分で作業していました。
作業開始から数分、ふと我に帰り、周りを見渡してみると、なんと義務付けられていたとされている ハーネスを誰もつけていなかったのです。
そして当然、私も ハーネスはつけていませんでした。
幸いにも容易には壊れなさそうな鉄筋の柵で周りが覆われていたので、落下する危険はなさそうでしたが、高所作業にもかかわらず誰もルールを守らないその適当さとタフさに私は思わず、また笑いがこぼれそうになりました。
それと同時に、目の前でグレーな行為が行われている時、緊張感よりもむしろ笑いの方が勝つのだなと思いました。
職場と真逆な環境◆ホワイトとブラックの二律背反が柔軟さを教えてくれた
朝8時から昼1時間の休憩をはさみ 夕方5時までの8時間労働の契約でしたが、その日予定していた作業が予定よりも早く終わり、3時には現場から帰れることになりました。
グレーな側面もあるくせに、めちゃくちゃホワイトの側面もあるなと思い、私はその幸運をかみしめながら日給の1万円を受け取りました。
帰りの電車の中、私は東京タワーの建設中、鳶職人たちがハーネス1つつけず作業していたのにもかかわらず、死者はほとんどいなかったという話を思い出しました。
私が失踪を決意した前勤めていた会社では、仕事上でのミスをするたびに現場ではルールが増えていき、非常にやりづらかったことを覚えています。
互いに監視し合っているような陰鬱さもあり、長くいたいと思わないようなコミュニティでした。
ミスに厳しい現場ほど、かえってミスが多いような気すらしています。
最近はコンプライアンスが叫ばれ、グレーなことすら減っていく世の中なのかもしれません。
しかし、人間は割と絶対的に守らなければならないことを除けば、その他のことは適当でいいのかもしれないなと思いました。
表だって大きな声で語れる出来事ではないですが、私に学びと柔軟さを与えてくれる、非常に勉強になる出来事でした。
はまにゃんさん、投稿ありがとうございました。
現代社会では常にルールや規則に縛られることが多いですが、その中で柔軟さを発揮し状況に応じた適切な行動を取ることが求められます。
働き口が少なく仕事を選ぶ自由が無い中でも、自身の生活のために新しい経験へと踏み出したのは勇気ある行動ですね。
今までの人生では信じられないような事象を見て絶望するのではなく、「一つの価値観」と捉えることができたことで自分が本当に求める生き方へのヒントを導き出すことができた貴重な経験であるといえるでしょう。
予測不可能な出来事や困難がある人生だからこそ、柔軟性と適応力を養うことで、どんな状況でも乗り越えることができるようになりますね。